公立離れが加速する東京で、なぜ都立国際だけが人気なのか
皆さんこんにちは、Saoriです。マレーシア・ペナンに移住して3年半、長女Hikari(小2)と長男Zen(年長)をインターナショナルスクールに通わせながら、日本の教育事情にも常にアンテナを張っています。
最近、気になるニュースを見つけました。「高校無償化で『公立離れ』、東京でも倍率下がり続ける中で際立つ『都立国際高校』IBコースの人気ぶり」という記事です。
高校無償化によって私立高校の実質負担が減り、公立高校の志願倍率が下がり続けている。そんな中で、都立国際高校のIBコースだけは倍率が上昇傾向にあるのだそうです。
この現象、一見すると「公立なのに人気」という単純な話に見えますが、実は教育移住を検討する私たちにとって非常に示唆に富んだ内容だと感じました。
IB人気の背景にある「国際標準」へのシフト
都立国際高校のIBコースが人気を集める理由、それは「国際バカロレア(IB)という世界標準カリキュラム」を公立で取得できるからです。
IBは世界中の大学で評価される教育プログラムです。特に欧米のトップ大学では、IBスコアが出願の重要な指標になります。日本国内でも、IBで培われる「探究型学習」「批判的思考」「英語でのプレゼン力」が評価され始めています。
Hikariが通うペナンのインターナショナルスクールでも、IBカリキュラムを採用しています。彼女が毎日取り組んでいるのは、答えのない問いに対して自分なりの仮説を立て、調査し、発表するというプロセスです。
「日本の公立高校でこれが学べる」という点が、教育熱心な家庭に響いているのでしょう。都立国際高校のIBコースは、まさに「公立の枠組みで国際標準教育を提供する」という新しい選択肢なのです。
IBコースの学費とマレーシアの比較
気になるのは費用面です。都立国際高校のIBコースは公立なので、授業料は年間約12万円程度。教材費や留学費用を加えても、私立のインターナショナルスクールに比べれば格段に安い。
一方、マレーシアのインターナショナルスクール(IB校)の年間学費は、小学校で80〜150万円程度。中学・高校になれば200万円を超えることも珍しくありません。ただし、最新の為替レート(1 MYR = 39.81 JPY、2026年5月8日現在)で計算すると、マレーシアの学費は日本の私立インターの半額以下です。
都立国際高校のIBコースは「コスパが良い」という点で確かに魅力的ですが、問題は「入試の狭き門」です。倍率が高いため、誰でも入れるわけではありません。
教育移住の本質「選べるという自由」
都立国際高校のIB人気が示す本質は、日本の教育にも「国際標準」を求める声が確実に増えているということです。
しかし、私はここで一つ考えたいことがあります。それは「選択肢の多さ」と「入りやすさ」の違いです。
東京に住んでいれば、都立国際高校のIBコースを目指すことは可能です。しかし、そこに入れるかどうかは別問題。入試の倍率が高いということは、多くの子どもが「選ばれる側」に回るということです。
一方、マレーシアのインターナショナルスクールは、日本のインターに比べて入学のハードルが低い。特にペナンにはUplandsをはじめ、複数のIB校があり、それぞれに特色があります。子どもに合った学校を「選ぶ」ことができるのです。
HikariとZenの学校選びから見えたこと
Hikariが現在通っている学校は、IBのPYP(初等教育プログラム)を採用しています。彼女は毎日、英語で探究学習に取り組み、自分の意見をクラスメートの前で発表する機会がたくさんあります。
Zenも同じ学校で、遊びを通して英語と社会性を身につけています。彼が通うプリスクールでは、毎朝のサークルタイムで「今日の気分は?」と聞かれ、英語で答えています。
「日本の学校ではできないのか」と聞かれることがあります。もちろん、日本の学校でも工夫次第で似たような教育は可能です。しかし、学校全体がIBという一貫した哲学で動いている環境と、一部の教員だけが頑張る環境では、子どもの成長の質が違うと感じます。
「公立のIB」がもたらす新たな選択肢
都立国際高校のIBコース人気は、日本の教育制度にも変化の兆しがあることを示しています。文部科学省もIB校の増設を推進しており、今後は公立でもIBが学べる機会が増えるでしょう。
しかし、そのスピードは決して速くありません。IBを本格的に導入している公立校はまだごく一部。しかも、IBの理念を理解した教員の育成には時間がかかります。
教育移住を検討する際に重要なのは、「今、自分の子どもに何を提供できるか」という視点です。都立国際高校のIBコースは、確かに素晴らしい選択肢です。でも、それは「中学卒業後」の話。小学校・中学校の間、子どもはどんな教育環境で育つのでしょうか。
Hikariは小2で、すでに英語でのプレゼンやグループワークに慣れています。この経験は、仮に彼女が将来日本の高校に戻ったとしても、決して無駄にはならない。むしろ、日本の教育と海外の教育の両方を経験したという「複眼的な視点」が、彼女の強みになるはずです。
教育移住は「逃げ」ではなく「戦略」
「日本の教育がダメだから海外に行く」というネガティブな理由ではなく、「世界標準の教育を子どもに与えたい」というポジティブな選択としての教育移住。都立国際高校のIB人気は、この流れが日本国内でも確実に起きている証拠です。
私たち家族は、マレーシアという地で、IBの本場と言える教育環境を選びました。それは決して「日本の教育を否定している」わけではありません。むしろ、日本の教育の良い部分も認めつつ、国際社会で通用する力を子どもに身につけさせたいという「戦略的な選択」です。
次女Yukariはまだ1歳半。彼女が学校に通う頃には、日本の教育環境もさらに変わっているかもしれません。それでも、私たちは「選べる自由」を持ち続けたい。そのために、マレーシアという拠点を維持しているのです。
まとめ:都立国際のIB人気から学ぶこと
今回のニュースから私が感じたのは、「国際標準教育への需要は、日本国内でも確実に高まっている」ということです。
都立国際高校のIBコースは、その需要に応える画期的な選択肢です。しかし、入試の狭き門をくぐれるのは一部の子どもたちだけ。全ての子どもに平等にチャンスが与えられるわけではありません。
教育移住は、その「選べる自由」を手に入れるための一つの方法です。もちろん、移住にはリスクやコストが伴います。それでも、子どもの教育に本気で向き合うなら、国内の選択肢だけでなく、海外の選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
マレーシアのインターナショナルスクールでは、IBをはじめとする国際カリキュラムを、比較的リーズナブルな費用で学ぶことができます。しかも、多文化環境の中で、自然と国際感覚が身につく。
「公立のIB」という新しい選択肢が生まれた今こそ、改めて「子どもにとって最適な教育環境とは何か」を考えてみる良い機会かもしれません。

