- 動画で解説
- 第1章 はじめに — なぜこの報告書を書くのか
- 第2章 事件の概要
- 第3章 当事者について
- 第4章 Stonyhurst と UPLANDS (The International School of Penang) の比較 — ガバナンスの差が生む安心感の違い
- 第5章 完全時系列 — 何が起きたのか
- 第6章 入学の経緯とビザサポートへの依拠
- 第7章 不正確な案内の詳細 — 「Yes you may」の意味
- 第8章 6ヶ月間の放置 — 申請されなかったビザ
- 第9章 突然の方針転換と緊急出国
- 第10章 金融資産凍結 — ビザ問題が生活基盤を破壊する連鎖
- 第11章 学校の対応 — 学校側の対応記録
- 第12章 学校側弁護士(Murad & Foo)の回答書とその矛盾
- 第13章 ビザサポートは有償サービスだった — 請求書の存在
- 第14章 正しいビザ切替手続きとは — 他校の事例との比較
- 第15章 子どもたちへの影響
- 第16章 教育移住を検討する家庭への教訓
- 第17章 現在の状況と今後の方針
- 本報告書について
動画で解説
本報告書の内容を動画で解説しています
第1章 はじめに — なぜこの報告書を書くのか
本報告書は、マレーシア・ペナン島バトゥフェリンギ(Batu Ferringhi)のUPLANDS(The International School of Penang)(以下「UPLANDS」または「学校」)において、私たち家族が経験したビザ手続き不備問題について、事実を詳細に記録したものです。
私たちは2025年1月、子どもたち(当時6歳と4歳)をStonyhurst International School PenangからUPLANDSに転入させました。転入後、学校が「ビザサポート」を提供するとし、就労ビザ(Employment Pass, EP)から保護者ビザ(Guardian Visa, GV)への切替を支援すると説明しました。
振り返れば、私たちが最初に子どもたちを通わせていたStonyhurst International School Penangでは、このような問題は起きませんでした。Stonyhurstは1593年に創立された英国の名門校が直接運営しており、英国本部がカリキュラム基準、教師採用、事務運営の品質を監督しています。この英国本部による直接ガバナンスは、ビザサポートや保護者対応の質にも反映されており、私たちが感じていた安心感はまさにこの組織的な基盤に由来するものでした。UPLANDSに転入した後にこの違いを痛感することになりました。
しかし、UPLANDSへの転入後、約14ヶ月にわたり、学校のビザサポート担当者による不正確な案内、6ヶ月間の放置、突然の方針転換が重なり、家族は不法滞在リスクへの直面、銀行口座の実質的凍結、緊急出国の強制という事態に追い込まれました。
さらに状況をさらに複雑にしたのは、学校側の対応です。不備を認めるのではなく、責任は保護者にあると主張し、法的権利の行使を理由に差別的な扱いを明言するという、以下の対応が記録されています。
本報告書を公開する目的は以下の3つです。
- 同様の問題を経験している、または将来経験する可能性がある家族への情報提供
- マレーシアの教育移住を検討する日本人家庭に対し、学校選びにおいて見落としがちな「事務手続き能力」と「ガバナンス体制」の重要性を伝えること
- 本件の事実を公の記録として残すこと
本報告書に記載するすべての事実は、メール、WhatsAppメッセージ、書面、領収書等の証拠に基づいています。2026年2月19日に送付した催告書(Letter of Demand)に対し、学校側弁護士Murad & Fooから2026年3月5日付で回答書が届いており、その内容についても本報告書で分析します。
第2章 事件の概要
本件は、UPLANDSが「入学・ビザサポート(Admissions & Visa Support)」という公式な肩書きを持つ専任スタッフ担当者を通じて提供したビザ案内が、結果として不正確であったことに起因する紛争です。
問題の核心 — 7つの義務違反
- 【初期案内の不正確さ】学校は、就労ビザ(EP)から保護者ビザ(GV)への切替が可能であると、移民局への確認なしに肯定的に保証した。この保証に基づいて家族は入学を決定し、Security Deposit MYR 5,000および入学金MYR 23,343を支払った
- 【2つの誤った選択肢】学校は既存ビザの取扱いについて「先にキャンセルする」か「期限切れを待つ」の2択を提示したが、いずれも不正確であった。正しい手続きは「既存ビザが有効な間に切替申請を行う」ことだった
- 【書面での書面での承認】さおりが選択肢Bを選んだ際、担当者は「Yes you may」と書面で確認した。本件で中心的な証拠
- 【6ヶ月間の放置】2025年4月〜9月の丸6ヶ月間、学校はビザ案件について対応が行われた記録は確認されていません。移民局への正式申請は行われず、リファレンス番号は存在しなかった
- 【突然の方針転換】EP期限切れ6日前に「時間が足りない」と通知し、家族全員に緊急出国を強いた
- 【責任の所在に関する主張】学校は「妻がビザの失効を待つことを選択した」と主張。自ら提示した選択肢から選ばせ「Yes you may」と承認した事実を無視
- 【法的権利行使を理由とした差別的対応】校長は「訴訟を示唆したため、他の家族と同等の柔軟な対応はできない」と書面で明言
被害の全体像
家族が被った損害は以下の通り多岐にわたります。
- 緊急タイ渡航費用(家族5人分の航空券、宿泊、移動)
- 銀行口座の機能制限による金融資産の実質的凍結
- 本人口座から配偶者口座への送金拒否
- 配偶者の新規口座開設不可
- 学費支払い困難(支払い意思があっても物理的に不可能な期間が発生)
- 追加のビザ申請費用
- ガーディアンビザ申請に必要な「3ヶ月間の継続的銀行振込記録」の途絶と再積み直し
- 穂高の日本への緊急渡航(銀行口座の再活性化のため)
- 3人の子どもたちへの心理的影響(睡眠障害、登校拒否、分離不安)
第3章 当事者について
私たち後藤家は日本国籍の家族で、3人の子どもがいます。
- Hikari(長女、当時7歳)— UPLANDS在籍
- Zen(長男、当時5歳)— UPLANDS在籍
- Yukari(次女、当時1歳)— 2024年8月26日生まれ
夫の穂高はラブアン法人を通じた就労ビザ(Employment Pass)でマレーシアに滞在しており、私(さおり)と子どもたちはDependent Visa(扶養ビザ)で滞在していました。Employment Passの期限は2025年10月20日でした。
子どもたちは当初、Stonyhurst International School Penangに通っていました。2024年10月にUPLANDSの見学を行い、転入を決定。2025年1月(2024/2025学年度第2学期)から通学を開始しています。
なお、Murad & Fooの回答書(§24)でも、子どもたちがStonyhurst International School PenangからUPLANDSに転入した事実が確認されています。
第4章 Stonyhurst と UPLANDS (The International School of Penang) の比較 — ガバナンスの差が生む安心感の違い
本章では、私たちが最初に子どもたちを通わせていたStonyhurst International School Penangと、UPLANDSのガバナンス体制の違いについて述べます。この比較は、インターナショナルスクール選びにおいて「ガバナンス体制」がいかに重要かを示す実例です。
Stonyhurstの組織的基盤
Stonyhurstは、1593年に英国ランカシャーで設立された世界最古のイエズス会系学校 Stonyhurst College の直営キャンパスとして、2022年にペナンに開校しました。
- 英国本部(Stonyhurst College UK)がカリキュラム基準、教師の採用・研修、教育品質の評価を直接監督
- LAPISという経験豊富なマレーシアの教育運営パートナーとの提携(KLのSt Joseph’s Institution International Schoolも運営)
- 430年の教育伝統に基づく組織的な品質管理体制
- FOBISIA(アジア英国系インターナショナルスクール連盟)正式メンバー(2024年4月加盟)
- 外部評価の枠組みが整備されている(BSO Inspection対象)
私たちが感じていた安心感
Stonyhurstに通っていた期間、学校の事務対応や保護者コミュニケーションに不安を感じることはありませんでした。英国本部という「錨」があることで、学校運営が特定の校長個人の判断に依存しない仕組みが機能していると感じました。問題が発生した場合も、英国本部のガバナンスが品質を担保するという安心感がありました。
UPLANDS (The International School of Penang) との重要な違い
UPLANDSに転入した後、この安心感は失われました。UPLANDSでは以下の組織的問題が明らかになりました。
- ビザサポート担当者への組織的な監督・検証が欠如していた
- 担当者の引継ぎが説明なく行われ、継続性がなかった
- 校長(校長)が自ら「運用の枠組みが完全に確立されていない可能性がある」と認める組織体制
- 保護者の法的権利行使に対して、校長が個人的に法的権利行使を理由とした対応を取ることを組織として容認
- ビザ申請に必要な正式なテンプレートや書式を整備されていなかった(他の保護者の書類の墨消しコピーを「テンプレート」として提供)
ガバナンス体制の有無は、学校選びにおいて見落としがちですが、重要な要素の一つです。英国本部やグローバルな教育ネットワークによる外部監督がある学校と、現地の経営陣の判断のみに依存する学校では、問題発生時の対応に決定的な差が出ます。
第5章 完全時系列 — 何が起きたのか
以下は、証拠に基づく主要な出来事の時系列です。すべての日付と内容はメール、WhatsApp、書面の記録で裏付けられています。
第6章 入学の経緯とビザサポートへの依拠
6-1. スクールツアーから入学決定まで
2024年10月18日、家族はUPLANDSのスクールツアーに参加しました。ツアー終了後、穂高は入学チームの前任担当者にメールを送信し、転入の申込を決めたことを伝えました。
重要なのは、入学決定の前提としてビザサポートの可否が確認されていたことです。穂高は10月30日、入学許可前に「Is it indeed possible for parents to be issued a guardian visa?」とメールで照会しています。このメールは、ビザサポートの実現可能性が入学判断の前提条件であったことを直接的に証明する証拠です。
入学インタビュー期間中(10月30日以降)、学校はビザ切替(EP→GV)が可能であると口頭で確認しました。家族はこの口頭確認に依拠して入学手続きを進め、11月21日にSecurity Deposit MYR 5,000を支払いました。
6-2. 担当者の登場と引継ぎの断絶
2024年11月1日、それまでのやり取りで前任担当者が窓口だったにもかかわらず、突然、別のスタッフ(以下「担当者」)がメールスレッドに登場しました。この担当者は以下の状況を全く把握していませんでした。
- 10月30日の穂高のガーディアンビザに関する照会メール
- 10月25日にさおりが前任担当者に送付済みのビザコピー
- 入学インタビュー期間中の口頭確認の内容
前任担当者は何の説明もなくメールスレッドから姿を消し、担当者が引継ぎも継続性もないままビザ関連のコミュニケーションを全て引き継ぎました。この引継ぎの断絶は、学校の組織的な管理体制の問題を示す最初の兆候でした。
6-3. 矛盾する2つの回答(11月1日 vs 11月22日)
担当者の最初の回答(11月1日)は以下の通りでした。
“Currently, you and your wife are holding an employment visa and a dependent visa, respectively. As such, there is no need to apply for a guardian visa, as immigration policy permits only one visa per individual.”
(現在、ご夫妻は就労ビザとdependent visaをそれぞれ保有しているため、1人1ビザの原則によりguardian visaを申請する必要はない)
この回答は担当者の根本的な誤認を明らかにしています。「1人1ビザ」の原則から、既存ビザが有効な間は新しいビザを申請できないと理解していたのです。この同じ不正確な前提が、後の「2つの選択肢」(キャンセルか期限切れ待ち)の根拠となりました。正しい手続き(有効な間に切替申請)を理解していなかったからこそ、いずれの選択肢も誤っていたのです。
ところが、わずか3週間後の11月22日、担当者は立場を180度翻しました。
“Yes, the immigration allows both parents to apply for the guardian visa”
しかも、担当者の同日朝8:28AMのメールでは「upon your arrival」「when you are planning your trip to Malaysia」という表現を使っており、家族がまだマレーシアに到着していないことを前提とした案内でした。家族がすでにマレーシアに居住し既存のビザを保有しているという基本的な事実すら把握していなかったのです。穂高が9:03AMに詳細なメール(ラブアン法人EP、既存Dependent Visa、約6ヶ月後の切替意向)を送って初めて、担当者が9:40AMに肯定的回答を返しました。
同じスタッフから3週間で出された2つの相反する回答は、担当者の案内が一貫性を欠き、移民局への確認を一切行わずに発せられていたことの重要な証拠です。
6-4. 入学決定と経済的コミットメントの因果関係
学校の表示(口頭および書面)と家族の経済的コミットメントの因果関係は、以下の時系列で直接的に証明されます。
- 10月30日: 穂高がGVの可否を照会(入学許可前)
- 10月30日以降: 入学インタビュー中に学校が口頭で切替可能と確認
- 11月21日: Security Deposit MYR 5,000支払い(担当者の書面確認の前日。口頭保証に依拠)
- 11月22日: 担当者が書面で「Yes, the immigration allows both parents to apply」と確認
- 12月17日: 入学金MYR 23,343支払い
Security Depositが書面確認の前日に支払われた事実は、家族が学校の口頭での保証にすでに依拠していたことを証明します。11月22日の書面確認はこの依拠を補強し、さらなる経済的コミットメントにつながりました。
第7章 不正確な案内の詳細 — 「Yes you may」の意味
7-1. 学校が提示した2つの選択肢
2025年3月、学校は既存ビザの取扱いについて2つの選択肢を提示しました。
- 選択肢A: 既存のDependent Visaを先にキャンセルしてから新しいビザを申請する
- 選択肢B: ビザの期限切れを待ってから申請する
3月26日、さおりが選択肢Bを選択しました。担当者は明確な「Yes you may」でこの選択を確認しました。
7-2. なぜいずれも不正確であったのか
いずれの選択肢も不正確でした。家族が後日、移民局の窓口で直接確認したところ、正しい手続きは「既存のビザが有効な間に切替申請を行う」ことでした。
学校が提示した2つの選択肢は、いずれも「切替」ではありませんでした。一方を失効/キャンセルしてからゼロベースで新規申請するものであり、マレーシアの移民制度に存在する「切替(switching)」メカニズムとは異なるものでした。
このメール一通——2025年3月26日の担当者の「Yes you may」——が本件で中心的な証拠です。
- 学校が2つの選択肢を提示した(いずれも学校が作成したもの)
- さおりがその中から選んだ(学校のメニューから選択)
- 学校がその選択を書面で承認した(「Yes you may」)
学校が後に「妻がビザの失効を待つことを選択した」と責任を転嫁する主張は、この事実により事実経過と整合しません。さおりは学校自身が作成した不正確な選択肢から選び、学校がそれを承認したのです。
7-3. 正しい手続きとは何だったのか
独自調査の結果、マレーシアの移民制度には以下の切替メカニズムが存在することが確認されました。
正しいフロー: ① 既存パスの短縮(Shorten Pass)→ ② Special Pass取得(ブリッジ、RM100+サービス料RM250)→ ③ 新パス申請
この手続きの存在は、以下の複数の情報源で裏付けられています。
- ESD(Electronic Services Division)公式システムに切替関連手続きが存在
- ペナンの別のインターナショナルスクール(St. Christopher’s International Primary School)の公式Immigration Guideに明記: 「Kindly make sure that current visa is one (1) month before expiry date before submission of application」(ビザが有効な期間中に申請することが前提)
- St. Christopher’sのGuardian Visaチェックリストに「Special Pass(RM100+サービス料RM250)」が「only if necessary and optional」として記載。切替時のブリッジパスとして制度的に整備されている
- 知人(インターナショナルスクールオーナー女性)の配偶者(イギリス人)がEP→GV切替を実際に行ったとの証言
- 日本の移民制度でも「在留資格変更許可申請」として既存資格が有効な間の切替が制度化されている
UPLANDSはこの基本的な手続きを把握しておらず、「キャンセルしてから申請」か「失効を待ってから申請」という不正確な2つの選択肢のみを提示しました。これは、国際学校のビザサポート担当者として基本的な知識であったと考えられます。
第8章 6ヶ月間の放置 — 申請されなかったビザ
8-1. リファレンス番号の不在
2025年4月から9月まで、丸6ヶ月間、学校はビザ案件について実質的な対応を一切行いませんでした。リファレンス番号は一度も付与されませんでした。リファレンス番号がないということは、案件が移民局に正式に提出されていなかったことを意味します。
学校は2025年10月20日の就労ビザ期限を把握していたにもかかわらず、切替を期限内に完了させるための措置を何ら講じませんでした。
8-2. 事前相談の不在
さらに深刻なのは、学校が移民局に対して事前の案件相談を行っていなかったことです。EP→GV切替という特殊なケースについて、事前に移民局と協議・確認するのが専門的なビザサポートの基本です。しかし学校は、全ての書類を集めてからぶっつけ本番で申請するという事前確認のない方式を取っていました。
通常のビザ申請プロセスでは、まず書類を提出してリファレンス番号を取得し、その番号を通じて移民局と継続的にやり取りしながら必要に応じて書類の修正・追加を行います。しかしUPLANDSの担当者は、リファレンス番号を取得せず、案件を管理する仕組みのないまま移民局とやり取りを行い、さらに担当者が独自に「準備ができた」と判断して一発勝負で提出するという極めて危険な方法を採用していました。この方式では、書類に不備があった場合にリカバリーが困難であり、家族のビザステータスを不必要なリスクにさらすものです。
8-3. 担当者の書類対応の問題
担当者の対応には以下の重要な問題がありました。
- 移民局に対して書類が十分かどうかの確認を行われなかった記録が残っています
- 「ビザが失効してから提出する」と述べ、待機していた(これ自体が誤った手続き)
- 穂高の書類について「何か問題があったようだ」と伝えたが、その内容を説明しなかった
- 穂高が問題点の具体的説明を何度も催促したが、学校は回答を拒否するか能力がなかった
- 穂高が自ら移民局に出向いて確認したところ、「問題」とは翻訳文書中の会社名のスペルミスという単なる事務的誤記に過ぎなかった
- 学校が提供した「テンプレート」は他の保護者の収入証明書のPDFに墨消しを施しただけの代物。墨消しは不完全で元の個人情報が透けて見える状態。正式なテンプレートは一切整備されていなかった
- 穂高が自らフォーマットを準備し、学校に確認を取るという通常とは逆の事態が発生
- 担当者が開示していなかった隠れた条件として、移民局は「同一会社名からの3ヶ月間の継続的な銀行振込記録」を要求していた。この条件が後に銀行口座の制約と相まって重要な問題となる
第9章 突然の方針転換と緊急出国
2025年10月14日、EP期限切れまでわずか6日を残す段階で、学校は突然「書類を提出する十分な時間がない」と通知しました。これは6ヶ月間何もしなかった結果の帰結です。
2日後の10月16日、学校は家族全員にビザ期限前のマレーシア出国を指示。これは学校の従前の案内(「期限切れを待ってから申請する」)の従前の案内との矛盾が生じました。
この時、さおりは学校に対してもう一つの重要な問題を伝えました。末子のYukariは2024年8月26日にマレーシア国内で出生しており、1年以上ビザなしでマレーシアに滞在していたのです。学校はこの事実を把握していませんでした。
10月22日、家族5人全員でタイに出国し、再入国。90日の観光ビザでの滞在となりました。この緊急出国は、学校の6ヶ月間の不作為がなければ回避可能であったと考えられます。
なお、子どもたちのStudent Pass(Hikari, Zen)は、書類受領からわずか5日で発行されました(11月26日)。さおりのGuardian PassとYukariのDependent Passも書類受領から13日で発行されました(12月29日)。学校が適切に動きさえすれば、迅速に処理可能だったことの証拠です。
第10章 金融資産凍結 — ビザ問題が生活基盤を破壊する連鎖
10-1. 銀行口座への影響
ビザ失効の影響は、滞在資格の喪失にとどまりませんでした。マレーシアの銀行のコンプライアンス規制が発動し、以下の事態が連鎖的に発生しました。
- 穂高の口座からさおりの口座への送金が銀行により拒否された
- さおりは観光ビザの状態で新規口座を開設できなかった
- 証券や暗号資産を現金化しても受け皿となる口座がなかった
- ガーディアンビザ申請に必要な「同一会社名からの3ヶ月間の継続的な銀行振込記録」が途絶え、2026年1月から改めて積み直す必要が発生
- 穂高は日本の銀行口座の再活性化(休眠口座解除)のために2026年2月に日本への緊急渡航が必要となった
この連鎖は、教育移住を計画する富裕層の家庭にとって重要な教訓です。ビザステータスと金融資産の流動性は直結しており、一方が崩れると生活基盤全体が大きな影響を受ける可能性があります。
10-2. 学費支払いをめぐる経緯
銀行口座の制約にもかかわらず、家族は学費を全額支払い済みです。さおりは銀行口座の制約と支払い困難の状況を担当者と校長に詳細にメールで説明していました。支払い意思があっても物理的に支払えない期間が存在したのです。
家族が最終的に支払いを完了した事実は、学校の対応との対比が明らかになります。支払い意思を持ち実際に支払ったのですから、支払い催促の必要性について疑問が残ります。
10-3. 2%事務手数料の問題
2026年1月19日、校長は学費分割払いに月2%の事務手数料を課すと通告しました。しかし、家族は翌日(1月20日)に銀行口座を復活させ、学費を支払うことができました。結果として、2%の手数料は実際には課されませんでした。
もっとも重要なのは、校長がこの手数料を課す意図を明確に示していたという事実です。学費支払いの遅延は、学校自身のビザ手続き不備に起因する銀行口座の制約が原因でした。学校が原因を作りながら、その結果である支払い遅延に対してペナルティを課そうとしたことは、学校の対応姿勢が記録されています。
第11章 学校の対応 — 学校側の対応記録
11-1. 責任の所在に関する主張の構造
2025年12月8日、学校は問題の原因を以下のように主張しました。
“the wife choosing to wait for the visa to lapse”
(妻がビザの失効を待つことを選択した)
しかし、事実はこうです。さおりは学校自身が提示した2つの選択肢(いずれも不正確)の中から選び、学校が「Yes you may」と書面で承認しました。さおりが独自にこのアプローチを考え出したのではなく、学校が作ったメニューから選んだに過ぎません。「選択した」という表現自体が、事実経過と矛盾する主張です。
11-2. 校長による体制上の課題の認識
2025年12月1日、校長は穂高のビザ手続きについて以下のように述べました。
“the operational framework may not be fully established”
(運用の枠組みが完全に確立されていない可能性がある)
この発言は重要な意味を持ちます。学校が1年以上にわたり提供してきたビザ案内について、そのサービスを提供するための知識とシステムが不十分であったことを校長自身が認めたのです。
にもかかわらず、学校は以下の矛盾する行動を取り続けていました。
- 専門的知見を有しているかのように断定的な指示を出し続けた
- 書類の即時提出を要求した(自ら理解していないと認めたプロセスについて)
- 保護者に移民局への直接訪問を禁じた(自らが唯一の窓口として機能しながら)
- ビザサービスに対して請求書を発行し対価を受領した(十分な体制が整っていなかった可能性のあるサービスについて)
この「発言と行動の不一致」は、組織的な課題を示しています。学校のビザ関連業務のすべて——事務処理、保護者向け案内、トラブル対応——が専門的な移民法の知見なしに、体系的な手順が整備されていない状態で行われていたことの証拠です。
11-3. 法的権利行使を理由とした対応
2026年1月20日、校長はメールで以下のように明言しました。
“Because you have suggested litigation, we cannot extend the same flexibility as other families.”
(訴訟を示唆したため、他の家族と同等の柔軟な対応はできない)
これは法的権利の行使を理由とした差別的対応に該当する可能性があります。法的権利の行使を理由に不利な扱いをすることは、一般的に正当化が困難とされています。特に、子どもが在籍する教育機関が、保護者の法的権利行使を理由に差別的対応を明言することは、重要な問題を含んでいます。
なお、学校側弁護士Murad & Fooの回答書§79では、「従業員の行為は雇用者としての立場でのもの」と認めています。これにより、校長の法的権利行使を理由とした発言が校長個人の見解ではなく、学校の公式行為・公式見解であることが確定しました。この点は法的に重要な意味を持ちます。
11-4. 「子どもたちはこの件と関係がない」
2026年1月28日、校長は以下のように宣言しました。
“the children are not related to this matter”
(子どもたちはこの件と関係がない)
在籍する生徒に対する注意義務を否定する発言です。ビザの不安定化、緊急出国、親のストレスが子どもたちの生活に直接的に影響していることは明白です。この発言は記録として保存されています。
11-5. 移民局直接訪問の禁止と責任の所在に関する主張の矛盾
学校は保護者に対して「移民局に直接行くことは推奨されない」と明示的に伝えていました。つまり、学校がビザ手続きの唯一の窓口(ボトルネック)として機能していたのです。
にもかかわらず、問題が発生した後は「保護者の責任」と主張しました。この矛盾は、学校の防御主張との整合性に疑問を生じさせます。
- 学校は保護者に移民局への直接連絡を禁じた
- 学校が唯一のゲートウェイとして機能した
- しかし学校は結果に対する責任を否認した
- つまり、学校はプロセスを独占しながら、リスクだけを保護者に転嫁する構造を作り出していた
第12章 学校側弁護士(Murad & Foo)の回答書とその矛盾
2026年3月5日付で、UPLANDSの代理人弁護士Murad & Fooから回答書が届きました。全面否認の姿勢ですが、核心的争点への具体的反論は含まれていませんでした。
回答書の主な主張と矛盾点
第13章 ビザサポートは有償サービスだった — 請求書の存在
本件で見落としてはならない重要な事実があります。学校はビザ関連サービスについて請求書(invoice)を発行し、対価を受領していたのです。
これは、ビザサポートが無償の好意やインフォーマルな支援ではなく、有償の商業サービスであったことを意味します。この事実は、学校の防御主張との整合性に疑問を生じさせます。
- 「ビザサポートは非公式な支援に過ぎない」→ 請求書を発行した有償サービスである
- 「書類は個人の責任」→ その管理に対して課金している
- 「担当者の案内は個人的見解」→ 学校としてサービス対価を受領している
- 有償サービス提供者は、無償の助言者よりも高い注意義務を負う
- 十分な体制が整っていなかった可能性のあるサービスに対して対価を請求していたことは、消費者保護の観点からも問題
第14章 正しいビザ切替手続きとは — 他校の事例との比較
本章では、マレーシアにおけるビザ切替の正規手続きと、他校の対応を比較します。
St. Christopher’s International Primary Schoolの公式ガイド
ペナンの別のインターナショナルスクール(St. Christopher’s)は、保護者向けの公式Immigration Guideを整備しています。その内容は以下の通りです。
- Guardian Visaの対象者を明確に定義: 「Employment Passを持っていない保護者/家族」が対象
- 申請タイミングの明記: 「現在のビザが有効期限の1ヶ月前までに申請すること」
- Special Pass(RM100+サービス料RM250)をチェックリストに記載: 切替時のブリッジパスとして制度的に整備
- 必要書類の正式なチェックリストを提供
UPLANDSとの対比は明確です。St. Christopher’sは「ビザが有効な期間中に申請」「Special Passでブリッジ」という正しい手続きを公式ガイドに明記しています。UPLANDSはこの基本的な手続きを把握しておらず、正式なガイドも存在しませんでした。
第15章 子どもたちへの影響
本件で最も注目すべきは、子どもたちへの影響です。4週間以上にわたり、さおりが毎日記録した「Saori Daily Log」には、以下のような子どもたちの状態が詳細に記されています。
- 不安による睡眠障害(おねしょの再発を含む)
- 登校への抵抗・拒否
- 分離不安の増大
- 行動の変化(攻撃性の増加、退行行動)
- 「また引っ越すの?」「学校を変わるの?」という不安の繰り返しの表出
- 食欲の変化
- 集中力の低下
校長は「the children are not related to this matter」(子どもたちはこの件と関係がない)と述べています。
ビザの不安定化 → 緊急出国 → 銀行口座凍結 → 親のストレス増大 → 家庭環境の不安定化 → 子どもの心理的影響。この因果連鎖は明白であり、学校のビザ手続き上の不備の直接的な結果です。
Saori Daily Logは、この因果連鎖による子どもたちへの具体的かつ継続的な被害を、日付入りで立証する強力な証拠です。
第16章 教育移住を検討する家庭への教訓
学校のガバナンス体制を確認する
- 学校の運営主体は誰か。英国本部やグローバルな教育ネットワークによる外部監督があるか
- 理事会(Board of Governors)の構成と機能はどうか。校長の独断で重要な決定がなされる体制ではないか
- FOBISIA、CIS、IBO等の外部認証・評価を受けているか
- 問題発生時のエスカレーションパスは存在するか(校長個人ではなく組織としての対応体制)
ビザサポートの実績を具体的に確認する
- 「可能です」という回答だけでは不十分。EP→GV切替等の具体的なケースを何件処理したか実績を確認
- 正式なImmigration Guideやチェックリストが整備されているか
- ビザサポート担当者の専門性(移民法の基本的知識、移民局との関係)を確認
- 移民局への事前相談体制があるか
- 担当者から矛盾する回答を受けた場合は危険信号
ビザと資産管理を一体で設計する
- ビザ申請は学校任せにしない。移民局の公式情報や専門家のセカンドオピニオンを必ず求める
- 銀行口座は複数保有し、ビザステータス変更時の影響を各銀行に事前確認
- 緊急時の資金として、マレーシア国外でもアクセス可能な資産を保有
- ビザの期限管理は自分で行い、学校任せにしない
- すべての重要なやり取りはメール等の記録に残す
クレーム時の学校の姿勢を事前に把握する
- 問題発生時に学校がどのように対応するか。保護者コミュニティや口コミで事前に情報収集
- 責任の所在に関する主張や法的権利行使を理由とした対応をする学校は避ける
- 法的権利の行使によって対応が変わること自体が、学校側が問題の存在を認識していた可能性を示唆しています
第17章 現在の状況と今後の方針
ビザの状況
子どもたちのStudent PassおよびさおりのGuardian Passは発行済みです。穂高のGuardian Pass申請については、ビザ問題による銀行口座の制約で収入振込記録が途絶えたため、2026年1月から改めて3ヶ月間の振込実績を積み直していました。しかし、一連の対応を通じて学校に対する信頼を維持することが困難となり、家族全員で日本に帰国することを決定しました。2026年7月の帰国に向けて準備を進めています。
学費の状況
学費は全額支払い済みです。銀行口座の制約という困難な状況下でも支払いを完了した事実は、学校の対応との対比が明らかになります。2%事務手数料については、校長が課す意図を明言したものの、家族が翌日に口座を復活させ支払いを完了したため、実際には課されませんでした。
なお、学校側弁護士を通じて、未消化分の学費を返金するので途中退学を認めるという提案が届いています。従前、学費の支払いを強く求めていた姿勢から一転しての提案であり、学校側の対応の変遷が記録として残っています。
法的手続き
2026年2月19日に催告書を送付済み。学校側弁護士の回答書は全面否認でしたが、核心的争点への具体的反論は含まれていませんでした。今後は弁護士と協議の上、帰国後の訴訟提起を視野に入れた対応を進めていきます。
情報公開
本報告書は、事実の追加や新たな展開に応じて随時更新します。多言語版(英語、中国語等)の公開も準備中です。同様の問題を経験されている方がいらっしゃいましたら、お問い合わせページよりご連絡ください。
学校側弁護士は回答書§76で記事の48時間以内の削除を要求しましたが、本報告書は事実に基づく記録であり、本報告書は証拠に基づく事実の記録です。
本報告書について
本報告書は、著者が経験した事実を、メール、WhatsAppメッセージ、書面、領収書、行政確認記録等の証拠に基づいて整理・記録したものです。
記載内容は「現在手元にある資料に基づく事実の記録」であり、学校または関係者に対する名誉毀損や誹謗中傷を目的とするものではありません。
本報告書における事実の記載と、著者の分析・評価は区別して記述しています。引用文(メール等)は原文のまま掲載しており、著者の解釈とは区別されます。
個人名については、公的な立場での行為に関する記載を除き、原則として役職・肩書きでの表記としています。
本報告書の内容について異議がある場合は、well-being.life のお問い合わせページよりご連絡ください。事実の誤りが確認された場合は、速やかに修正いたします。
本報告書は、同様の問題を経験している、または将来経験する可能性がある家族への情報提供、およびマレーシアの教育移住を検討する家庭に対する注意喚起を目的としています。

