最近、マレーシア教育移住を検討中の経営者の方から、こんな相談を受けました。
「マレーシアは教育費が安いと聞いていたのに、実際に見積もってみたら日本より高くて驚きました」
実は、この「想定外」の声が急増しています。円安の影響もあり、マレーシアから撤退を検討する家族も出始めました。今回は、現地の最新状況をお伝えします。
■ マレーシアの教育費は本当に「安い」のか?
私自身、5年前にマレーシア教育移住を始めた当時は、確かに「コスパが良い」と感じていました。インターナショナルスクールの年間学費は150〜300万円程度。東京の私立校と比べれば、まだ割安感がありました。
しかし、2024年現在の状況は大きく変わっています。
人気校の学費は年間400〜600万円に上昇。さらに、1ドル150円を超える円安が追い打ちをかけています。実質的な負担は、5年前の1.5〜2倍になっているケースも珍しくありません。
先日お会いした経営者のAさんは、こう話していました。
「為替レートを毎日チェックするようになりました。140円を切ったら帰国を考えています」
以前は「子どもの卒業まで」と考えていた家族が、為替を理由に撤退時期を検討し始めているのです。
■ 生活コストの「隠れた負担」
教育費以外にも、想定外の出費があります。
最近増えているのが、「一軒家の探し方」や「送迎手段」についての相談です。マレーシアでは、治安の関係でコンドミニアムが一般的ですが、子どもの成長とともに一軒家を希望する家族も増えています。
しかし、外国人が借りられる一軒家は限られており、家賃は月額30〜50万円が相場。東京の高級住宅街と変わらない水準です。
また、朝の送迎問題も深刻です。スクールバスが自宅エリアをカバーしていない場合、選択肢は限られます。
- 自家用車での送迎(運転手付きで月10万円程度)
- 配車アプリの利用(往復で1日3,000〜5,000円)
- 近隣家族との相乗り(調整が大変)
これらの「見えないコスト」が、家計を圧迫しているのです。
■ インター校の「質」も変化している
もう一つの懸念は、インターナショナルスクールの質の変化です。
最近気づいたのですが、マレーシアのインター校では非ネイティブ教師の割合が増えています。さらに、これまでインターに通ったことのない生徒の受け入れも拡大しています。
ある学校では、EAL(英語補習)だけでなく、語学学校のような準備コースを新設。英語力が一定レベルに達してから本科に編入する仕組みを導入しました。
これ自体は悪いことではありませんが、「国際的な環境で学ばせたい」という当初の目的からは、少しずれてきているかもしれません。
■ それでも残る「マレーシア教育」の魅力
ここまで厳しい現実をお伝えしてきましたが、マレーシア教育移住のメリットも確実に存在します。
まず、大学進学の選択肢の広さです。最近、「マレーシアの大学進学が人気」という記事を目にしました。確かに、欧米大学と比べれば学費は3分の1程度。ツイニングプログラムを利用すれば、欧米大学の学位も取得できます。
ただし、気になるのは企業側の評価です。「マレーシアの大学で取得した欧米大学の学位」を、日本企業がどう評価するのか。この点は、今後の動向を注視する必要があります。
また、多文化環境での生活経験は、子どもにとって貴重な財産になります。我が家の子どもも、様々な国籍の友人と自然に交流できるようになりました。
■ 今、教育移住を考えるなら
現在の状況を踏まえ、教育移住を検討中の方にアドバイスするとすれば、以下の3点です。
1. 予算は「想定の1.5倍」で計画する
為替変動リスクを考慮し、余裕を持った資金計画が必須です。
2. 「期間限定」の選択肢も検討する
小学校低学年の2〜3年間だけ、という選択肢もあります。英語の基礎を作り、多文化体験をさせるには十分な期間です。
3. 他国との比較検討を怠らない
タイ、ベトナム、フィリピンなど、他のアジア諸国も選択肢に入れて検討することをお勧めします。
■ まとめ:「理想」と「現実」のバランスを
マレーシア教育移住は、もはや「安くて質の高い教育」という単純な図式では語れません。
しかし、だからこそ「なぜ教育移住をするのか」という原点に立ち返る良い機会かもしれません。英語力だけなら、日本でも身につけられます。重要なのは、家族にとって何が最優先なのか、ということです。
私自身、円安の影響で家計は厳しくなりましたが、子どもの成長を見ると、この選択に後悔はありません。ただし、これから移住を考える方には、より慎重な検討をお勧めします。
教育移住は「投資」です。リターンが見込めるか、リスクは許容範囲か。経営者の皆さまなら、この判断の重要性はよくご理解いただけるはずです。
次回は、実際に撤退を決めた家族の事例を詳しくご紹介する予定です。成功例だけでなく、「撤退」という選択肢についても、正直にお伝えしていきたいと思います。

